ステキな恋の忘れ方

 薬師丸ひろ子といえば、我が世代にとっては紛うことなきビッグネーム。過ぎ去りし青春時代を語るとき、欠かすことのできない存在だと感じる同世代の方も少なくないはずです。
 そんな彼女のヒット曲に「ステキな恋の忘れ方」があります。ちょうど大学時代に流行ったのですが、ふとした話の流れで、その題名を巡って学友たちと認識の相違が生じたことがありました。
 一体、題名の意図するところは、「〔ステキな恋〕の忘れ方」なのでしょうか、それとも、「ステキな〔恋の忘れ方〕」なのでしょうか。前者と後者では、曲の意味合いが異なって受けとめられてしまいそうです。
 このように、同じ言葉や文章を読んでも、人によって理解や印象が異なってしまうことがあるのは、コミュニケーションを行う上で、十分に心に留めておかなければならないと思います。

 さて、かようアーティスチックな解釈論議ならばまだ楽しさもありますが、法令を読んでると、頭痛のするような難解な条文に出遭ってしまうことがあり、そこに規定された趣旨を誰もが同一認識できるのだろうか、という疑問が浮かぶこともしばしばあります。例えば、ある法令の条文を見てみましょう。